結納に使われる品物は、地域によってその種類や数、飾り方にさまざまな伝統があります。結納品の選定は、新郎新婦を含めた両家族でじっくりと相談しましょう。こちらでは、結納品を選ぶ際の一例として、目録の作成方法についてご案内します。
また、各結納品の正しい読み方についても解説しています。今回は、結納品の選び方とその意味について説明していきます。
結納品の意味と地域別の違い
結納の品々とその意味
結納には様々な品物が使われます。目録、長熨斗、金宝包、寿留女、子生婦、友志良賀、末広といった7品に加え、勝男節や家内喜多留などがあります。
金宝包や友志良賀、末広には異なる表記も存在します。最近では、結納品の代わりに結納金だけ、または結納金と指輪、あるいは指輪やネクタイピンなどの記念品のみで済ませることもあります。
また、家族書を交換することもあります。仲人が目録を読み上げ、女性側と男性側がそれぞれ受け入れる言葉を述べます。結納返しに関しては、地域により異なり、昔は半返しや1/3返しが一般的でしたが、現在は返さないか、1割程度を返すことが多くなっています。
結納返し無しの場合、結納金で嫁入り道具を準備することがあり、記念品の交換として指輪や腕時計を交換することもあります。
結納の日の準備と進行方法
結納は特別な儀式で、男性側が結納品を飾り付けます。飾り付けは通常、毛氈の上に行われ、関東式と関西式で場所の取り方が異なります。毛氈は手頃な価格で購入できます。
結納の日には、女性側が家族全員で男性側を玄関で迎え、挨拶の後に部屋へ案内します。男性側は仲人、父、母、本人の順で入ります。
仲人がいない場合は、男性の家族だけで入室します。飾り付けの際、男性側は無言で作業を行い、用意が整ったら仲人または男性の父が女性側に声をかけます。女性側は控えの間に退きます。
関東式と関西式の結納の違い:スタイル比較
以下は、関東式と関西式の結納に関する特徴を比較した表です。結納金の扱い、飾りのスタイル、食品の種類、結納品の数、演出の違いについて詳細に記載しています。これらの違いは、それぞれの地域の文化や伝統を反映しています。
項目 | 関東式の特徴 | 関西式の特徴 |
---|---|---|
結納金の扱い | 結納金は象徴的な意味合いを持ち、通常は少額か形式的なものに留まる。 | 結納金がより重要視され、実際に大きな金額が交わされ、結婚における重要な要素となる。 |
飾りのスタイル | 結納飾りはシンプルで、必要最低限の品物のみを用いる。派手さよりも機能性や伝統を重んじる傾向がある。 | 結納飾りは豪華で華やかで、多くの色とりどりの品物が用いられ、見た目の美しさが特に重視される。 |
食品の種類 | 結納品には、伝統的な食品やその地域特有の特産品がよく用いられる。地域の文化や伝統が反映される。 | より現代的な食品やブランド品が選ばれることがあり、現代性や新しさを重視する傾向がある。 |
結納品の数 | 結納品の数は比較的少なく、シンプルな構成が好まれる。伝統と機能性のバランスが重要視される。 | 結納品の数は多く、その多さが豊かさや寛大さを象徴する。 |
演出の違い | 結納は控えめで格式ばらない雰囲気で行われ、式は短時間で完了することが多い。シンプルで落ち着いた雰囲気。 | 結納は大きなイベントとして扱われ、華やかで時間をかけた演出が行われる。派手で祝祭的な雰囲気。 |
この表は、関東式と関西式の結納の特徴についての一般的な情報をまとめたものであり、あくまでも参考としてご覧ください。
結納の席順とマナーの要点
結納の際、女性の家で行う場合、男性側の父、母、そして男性自身が床の間に近い上座に座ります。一方で女性側の父、母、女性本人は下座の手前側に座ります。座布団は使わず、各自が膝前に扇子を置くのがマナーです。仲人がいない場合でも、この席順は変わりません。
ホテルなどの結納では、男性側が上座、女性側が下座になるのが基本です。ただし、個室で結納品に背を向ける必要がなければ、仲人は最初から上座に座ります。結納後に祝いの食事をする際は、仲人は上座側に移動します。もし祝いの食事を設けない場合は、儀式後にお礼として手土産や謝礼、お車代を渡します。
結納の席順やマナーは、伝統を重んじる日本の文化の一部です。この儀式を通じて、お互いの家族が結びつき、新たな始まりを祝う重要な慣習となっています。
結納における挨拶と進行のポイント
結納式では、まず仲人が挨拶を行います。固定のフレーズがあるものの、メモを見て話すことも可能です。例えば、「今日は良い日に、○○さんと○○さんの良縁をお祝いします。私が仲立ちをさせていただきます」といった感じです。男性側の父が仲人に目録を渡し、仲人は結納品を紹介します。それを仲人の女性が女性側の父に渡します。女性側の父は目録を確認し、家族に見せた後、お礼を述べます。
仲人がいない場合は、男性の父が挨拶をします。「○○さんとの結婚を認めていただき、感謝します。本日は良い日ですので、結納品をお持ちしました」といった内容です。男性の父が女性の父に目録を渡し、女性の父がそれを確認した後、お礼を述べます。
結納品の受け書は、女性側が男性側に渡すものです。受け書の準備は男性側が行い、結納品と一緒に持参するのがスムーズです。女性側が受け書を準備する場合は、目録に沿って書かれることが一般的です。
結納式は日本の伝統的な婚約の儀式であり、両家の絆を深める大切な行事です。この儀式を通じて、新しい家族関係が始まることを祝います。
結納後の謝礼とお礼の伝え方
結納式が終わった後、新郎新婦は仲人に感謝の言葉を伝えます。「今日はお越しいただきありがとうございます。まだまだ未熟な私たちですが、これからもご指導いただければ幸いです」というように。祝いの食事を行う場合は、女性の父が「お祝いの席をご用意しておりますので、どうぞ」と招待し、食事の準備が行われます。
結納の儀式全体が終了したら、仲人に謝礼や引出物を渡します。これは女性側が用意し、仲人だけでなく、男性側にも贈られます。手土産や謝礼の用意は事前に行いましょう。特に、女性の家で結納を行う場合は、儀式終了後に男性側の両親や仲人に持ち帰ってもらう引出物を用意することが重要です。
ホテルでの結納や、仲人への謝礼については、両家それぞれからの「寿」の熨斗袋や、女性側からの「お車代」を含む謝礼を用意します。仲人宅からの交通費を考慮した額を、キリの良い金額で用意することが一般的です。
結納返しの現代的な形式とマナー
結納を受けた後の返礼は、女性側が用意します。昔は結納後から挙式までに返礼をするのが一般的でしたが、最近は結納当日に行うことが多くなっています。結納返しは、「御袴料」として現金または品物で返すことがあります。以前は結納返しは半分から1/3を返すのが普通でしたが、今は返礼無し、または1割程度を返すことも増えています。
結納返し無しという選択肢もあり、この場合は結納金で嫁入り道具を準備するという意味合いが込められています。正式な結納返しの場合は、結納品に対応する品を用意し、目録も準備します。略式の場合は、熨斗、袴料、末広の3品だけでも大丈夫です。結納当日に返礼を行う場合、女性側の父が結納品の受け書と共に目録を渡します。結納とは別の日に行う場合、女性側が男性宅に持参することもあります。また、荷送りの際に結納返しを行う場合もあります。
まとめ
今回は、結納に使われる品物やその意味、地域ごとの違いをご紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?内容を簡単にまとめますと以下のポイントが挙げられます。
●結納品は両家の繁栄や新郎新婦の幸福を象徴し、奇数の品数が選ばれるのが一般的。
●関東と関西では、結納品の大きさや飾り方に違いがあり、地域の風習を反映した選び方と飾り方が大切です。
●近年は結納品の代わりに結納金や記念品のみで済ませるケースもある。
●結納返しについては地域によって異なり、昔の半返しや1/3返しから現在は返さないか1割程度に変化。
これらのポイントを押さえることで、結納という伝統的な儀式をより理解し、両家の絆を深めることができるでしょう。