結納における服装の選び方

結納

結納における服装の選び方

結納は、結婚を控えた二人の家族が、あらためてご縁を結ぶための節目の場です。形式は地域や家庭でさまざまですが、服装に関しては「何が正しいか」よりも、両家で格と雰囲気をそろえることが一番の安心材料になります。

この記事では、結納の形式を簡単に整理したうえで、両家の服装の合わせ方、会場や時間帯に合う考え方、男女別の服装目安、失敗しやすいNG例、当日のチェックポイントまでを、実務的にまとめます。

伝統的な結納と現代の形式

結納は、両家が婚約を確認し合い、これからの関係を整えるために行われてきた儀式です。以前は仲人を立て、結納品や金品を取り交わす形が一般的でしたが、現在は「略式結納」や、仲人なしで両家の両親と新郎新婦のみで行うケースも増えています。

形式が違っても、結納が「両家の場を整える時間」である点は共通です。だからこそ服装は、豪華さよりも、失礼のない改まり感と、両家のバランスを優先して考えるのが現実的です。

服装を決める前に、まずそろえる3つの軸

服装選びで迷ったときは、アイテムから決めるのではなく、次の3点を先に整理すると判断が早くなります。

  • 形式の度合い:正式寄りか、略式寄りか
  • 場所の格式:自宅、料亭、ホテルなど会場の雰囲気
  • 時間帯:昼中心か、夕方以降か

この3つがそろうと、「正装・準礼装・略礼装」のどれに寄せるかが自然に決まり、両家の話し合いもスムーズになります。

結納における服装ガイド:両家のバランスを重視

結納の服装でいちばん避けたいのは、両家の格が大きくズレてしまうことです。片方が礼装で、もう片方が普段着に近い装いだと、場が落ち着かず、写真でも違和感が出やすくなります。

服装は「家としての場」を整えるものなので、両家で格をそろえ、上品にまとめるのが基本です。

事前にすり合わせると安心な合意ポイント

当日に慌てる原因は、服の種類ではなく「事前の共有不足」であることが多いです。両家で次の点だけでも合意しておくと、当日のズレを防ぎやすくなります。

  • 両家の服装は、同じ格にそろえる(正装・準礼装・略礼装のどれに寄せるか)
  • 新郎新婦は同格、両親も夫婦で同格にそろえる
  • 仲人がいる場合は、仲人も含めて全体の格を合わせる
  • ホテルや料亭は会場の雰囲気に合わせ、やや上品寄りで整える

会場別の服装目安:自宅・料亭・ホテル

会場の雰囲気は、服装の「正解」を大きく左右します。迷う場合は、会場の格式に合わせて少しだけ改まり側に寄せると、失礼になりにくいです。

  • 自宅で行う結納:準礼装〜略礼装でも成立しやすい。写真に残ることを考え、色味は落ち着かせる。
  • 料亭で行う結納:店の雰囲気に合わせて準礼装寄りが安心。靴やバッグなど小物も上品にそろえる。
  • ホテルで行う結納:フォーマル度が高いので準礼装以上が無難。会場の照明で目立つ装飾や強い光沢は控える。

同じ会場でも、利用する個室の雰囲気や両家の方針で適切な範囲は変わります。気になる場合は、会場の案内写真を両家で共有して「この雰囲気ならこの程度で」とイメージを合わせると、差が出にくくなります。

時間帯別の考え方:昼と夕方以降

結納は昼に行うことが多い一方で、仕事の都合などで夕方以降になるケースもあります。時間帯によって、自然に見える装いの方向性が変わります。

  • 昼の結納:露出を控え、落ち着いた印象にまとめる。上品さと清潔感を優先する。
  • 夕方以降の結納:昼より少しだけ華やか寄りでも成立。ただし結婚式ほどの華やかさは避ける。

時間帯が遅くなるほど、照明や写真で装飾が強く見えることがあります。アクセサリーや素材の光沢は「控えめ」に寄せると失敗しにくいです。

よくあるNG例:写真で浮かないために

結納は「その場の印象」と「写真の印象」が一致しやすい行事です。次のようなパターンは、場の雰囲気を崩しやすいので注意しましょう。

  • カジュアル過ぎる:デニム素材、スニーカー、ラフなニットなどは改まり感が薄く見える。
  • 派手過ぎる:強いラメ、極端に明るい色、目立つブランド要素は写真で浮きやすい。
  • 片方だけ格上:片方の家が礼装、もう片方が略装のように格がズレると違和感が出る。
  • 小物で崩れる:靴の汚れ、バッグのカジュアル感、アクセサリーの主張が強いと全体が崩れる。

避けたいのは「失礼」そのものより、「両家の温度差が見えること」です。主役も含め、全員が同じ方向を向けている印象になるように整えましょう。

連絡テンプレ:服装をそろえる相談文

服装の相談は、早めに短い文章で済ませるのがいちばんラクです。気まずさが出ないよう、相手の意向を尊重しながら提案できる文面の例を用意しました。

LINE向け:短文で確認したい場合

結納当日の服装について、両家で雰囲気をそろえられるように確認させてください。
会場がホテルなので、私たちは準礼装寄りで考えています。
そちらはどの程度でお考えでしょうか。合わせて整えられたら安心です。

メール向け:丁寧に相談したい場合

結納当日の服装につきまして、事前に両家で格をそろえたく、ご相談申し上げます。
当日はホテルでの実施となるため、私どもは準礼装程度で整える案で考えております。
もしご希望の服装の方向性がございましたら、差し支えない範囲でお聞かせいただけますでしょうか。
当日が気持ちよい場になりますよう、合わせて準備できれば幸いです。

当日の最終チェック:身だしなみと持ち物

服装が整っていても、当日の身だしなみや持ち物で印象が左右されることがあります。直前に見直せるよう、短いチェックを用意します。

  • 身だしなみ:髪、爪、靴の汚れ、シワ、毛玉を確認する
  • 小物:バッグは上品なものにする。アクセサリーは控えめにする
  • 持ち物:ハンカチ、ティッシュ、予備のストッキングや靴ずれ対策を用意する
  • 移動:コートや傘、到着時間に余裕を持ち、慌てない

結納における男性の服装:正装から略礼装まで

男性の服装は、結納が昼に行われることが多い点を踏まえ、派手さを抑えた上品な装いが基本です。形式に応じて正装・準礼装・略礼装の選択肢がありますが、共通して大切なのは「清潔感」「落ち着き」「両家の格合わせ」です。

男性は落ち着いた色味でまとめると、家族写真でも違和感が出にくくなります。

正装・準礼装に寄せる場合の考え方

正式寄りの結納や、格式のある会場では、正装から準礼装が自然です。洋装・和装の選択は家庭の方針にもよりますが、本人の装いを軸にして、父親や仲人が極端に格上にならないように整えるとバランスが取れます。

「本人より格上が出ない」という考え方は、失礼回避だけでなく、写真の統一感にもつながります。

略礼装で整える場合の基本セット

略式の結納や、家族のみの結納なら、略礼装でも十分成立します。迷う場合は次の組み合わせにしておくと安心です。

  • スーツ:黒、チャコールグレー、濃紺など
  • シャツ:白
  • ネクタイ:落ち着いた色味や控えめな柄
  • 靴・靴下:黒で統一

男性の小物で差が出るポイント

  • 靴とベルトの色を合わせる
  • 時計やカフスは控えめにし、主張し過ぎない
  • ポケットに物を詰め込み過ぎず、シルエットを崩さない

結納における女性の服装:上品さと時間帯を意識

女性の服装は、場の格と時間帯に合わせて上品に整えるのが基本です。結納は昼に行うことが多いため、露出の多いデザインを避け、落ち着いた色味と清潔感を意識すると、どの会場でも馴染みやすくなります。

服装の種類よりも、全体の雰囲気が揃って見えることを優先すると失敗しにくいです。

正装・準礼装の目安を決めるコツ

女性が正装に寄せる場合は、男性側も同格に合わせる必要があります。反対に略式の結納で全体が準礼装寄りなら、女性だけが華やかになり過ぎないように調整すると、両家の印象がまとまります。

迷うときは「会場の格」と「両家の意向」の2点で判断し、少しだけきちんと側に寄せると安心です。

略礼装でも失礼にならない整え方

略式結納では、ワンピースやスーツなどの略礼装でも十分成立します。素材がカジュアル寄りだと日常感が出やすいので、落ち着いた生地感と色味でまとめると、場に自然に馴染みます。

対象者別:女性の服装の目安

服装の相談を短時間でまとめたい場合は、「誰がどの程度整えるか」を先に決めるとスムーズです。以下は目安なので、会場の雰囲気と両家の意向に合わせて調整してください。

対象者 洋装の目安 和装の目安
結婚する女性本人 ワンピース、セットアップ、インフォーマルドレス。露出を控え、上品にまとめる 色無地、付下、訪問着など。会場の格に合わせる
両家の母親 本人と同格または少し控えめ。落ち着いた色味で品よく整える 本人と同格または少し控えめ。華やかさは控えめにする
家族・姉妹・親族 同格〜やや控えめに。派手な装飾や強い光沢は避ける 本人より少し控えめ。落ち着いた色味を意識する

靴・バッグ・アクセサリーの基本ルール

服装の格をそろえても、小物がカジュアルだと全体が崩れやすいです。とくに写真に残りやすいポイントなので、最後にここだけ確認しておくと安心です。

  • バッグは小ぶりで上品なものを選ぶ
  • 靴は汚れや傷を事前にチェックし、清潔に整える
  • アクセサリーは控えめにし、光り過ぎるものは避ける

まとめ

結納の服装は、完璧な型に合わせることよりも、両家の格と雰囲気をそろえて、気持ちよく節目を迎えることが大切です。形式・会場・時間帯の3点を先に整理すると、迷いが大きく減ります。

不安が残る場合は、短い連絡文で意向を確認し、全体を少しだけきちんと側に寄せて整えると、失礼や違和感が起きにくくなります。

  • 両家の服装は、同じ格にそろえる
  • 形式・会場・時間帯の3点を先に決めてから服装を選ぶ
  • 迷ったら、少しだけきちんと側に寄せて統一感を出す
  • 写真で浮きやすいのは、派手さとカジュアル感と小物の差
  • 当日は身だしなみと小物まで含めて最終チェックする
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